1. はじめに:2026年の新NISA戦略は「高配当ETF」が鍵
2024年に始まった新NISA制度も定着し、2026年現在、多くの投資家が「つみたて投資枠」だけでなく「成長投資枠」をどう活用すべきかに関心を寄せています。その中で、特に人気を集めているのが「日本株高配当ETF」です。
これまでは「オルカン(全世界株式)」や「S&P500」などのインデックス投資が王道とされてきましたが、円安の進行や日本企業の株主還元姿勢の強化を受け、日本株で見逃せない利益(配当)を享受できる環境が整っています。本記事では、成長投資枠で選ぶべき主要ETFの深掘りと、そのメリット・デメリットを徹底解説します。
2. なぜ今、日本株の高配当ETFなのか?
2020年代半ばから、日本企業には大きな変化が起きました。東証による「資本コストや株価を意識した経営」の要請により、多くの企業が配当を増やし、自社株買いを行うようになったのです。これにより、日本株は単なる「安値放置」から「稼いで還元する」魅力的な市場へと変貌しました。
- 配当利回りの向上: 多くの優良企業が3〜4%台の利回りを維持。
- 非課税メリット: NISAを使えば、配当にかかる約20%の税金がゼロに。
- 為替リスクの回避: 国内資産を持つことで、極端な円安・円高の影響を和らげる。
3. 徹底比較!日本株高配当ETFの「3強」銘柄
日本の高配当株市場を代表する3つのETFを比較します。それぞれ特徴が異なるため、自分の投資スタイルに合ったものを選ぶことが重要です。
| 銘柄コード | 名称(略称) | 構成銘柄数 | 信託報酬(年率) | 主な投資先セクター |
|---|---|---|---|---|
| 1489 | NF・日経高配当50 | 50銘柄 | 0.0825%以内 | 銀行、商社、鉄鋼、卸売 |
| 1577 | 野村日本株高配当70 | 70銘柄 | 0.352%以内 | 輸送用機器、建設、化学 |
| 2564 | グローバルX MS高配当 | 25銘柄〜 | 0.33%以内 | REIT、通信、インフラ |
(1) 1489:NEXT FUNDS 日経平均高配当株50指数連動型上場投信
2026年現在、最も時価総額が大きく、流動性が高いETFです。日経平均株価を構成する225銘柄のうち、配当利回りが高い50銘柄で構成されています。

特徴: 三菱UFJフィナンシャルGや三井物産など、日本を代表する「超大型株」に集中投資します。信託報酬が非常に安く、コスト重視派に最適です。
(2) 1577:NEXT FUNDS 野村日本株高配当70連動型上場投信
こちらは70銘柄に分散投資します。日経平均にこだわらず、幅広い市場から高配当銘柄をピックアップします。

特徴: 1489に比べて1社あたりの比率が低いため、特定の企業の不祥事や株価暴落の影響を受けにくい「分散型」の設計です。
(3) 2564:グローバルX MSCIスーパーディビィデンド-日本株式 ETF
配当利回りの高さに特化したETFです。J-REIT(不動産投資信託)も含むため、他の2つよりも高い利回りを叩き出す傾向があります。

4. ここ数年のセクター・比率の推移と2026年の展望
高配当ETFの中身は、時代とともに変化します。ここ数年の大きな流れを確認しましょう。
過去5年の主要セクター比率の変遷(1489を例に)
| 年度 | 最大セクター | 第2セクター | 第3セクター | 傾向 |
|---|---|---|---|---|
| 2022年 | 海運 (15%) | 銀行 (12%) | 商社 (10%) | コンテナバブルによる海運の独走 |
| 2024年 | 銀行 (18%) | 商社 (14%) | 鉄鋼 (11%) | 金利上昇期待による金融株の台頭 |
| 2026年(現) | 銀行 (20%) | 情報通信 (12%) | 卸売 (10%) | 安定成長の通信株が上位に復帰 |
考察: 2026年現在は、日銀の金融政策正常化に伴い、銀行株の比率がかつてないほど高まっています。一方で、景気敏感な「海運」などは比率を下げ、NTTやKDDIといった安定した「通信・インフラ」セクターが配当利回りを高めて上位に食い込んでいるのが今年の特徴です。
5. 日本株高配当ETFのメリット・デメリット
メリット
- キャッシュフローの改善: 3ヶ月に一度、あるいは半年に一度、現金が口座に振り込まれます。これにより「投資をしている実感」が得られ、モチベーション維持に繋がります。
- 自動的な銘柄入れ替え: 業績が悪化し配当を出せなくなった銘柄は、指数の入れ替え時期に自動で除外されます。個別株のような「塩漬け」リスクを軽減できます。
- インフレ対策: 企業は物価上昇に合わせて商品価格を上げ、利益を確保します。現金で持っているよりも、インフレによる資産目減りを防げます。
デメリット
- 複利効果の減退: 配当を受け取ってしまうため、自動再投資される投資信託に比べると、資産の膨らみ方は緩やかになります。
- 減配・暴落リスク: 高配当株には「景気敏感株」が多く含まれます。世界的な不況が来ると、株価の大幅下落と配当カットのダブルパンチを受ける可能性があります。
- セクターの偏り: 前述の通り、銀行や商社に偏るため、金融ショック時には全体が大きく値下がりします。
6. 初心者のための理想的なポートフォリオ・バランス
高配当ETFは「メイン」ではなく「スパイス」として活用するのが、2026年の賢明な投資手法です。以下のバランスを参考にしてください。
推奨配分案:
- つみたて枠(オルカン/S&P500):70% → 将来の大きな資産形成のため
- 成長投資枠(日本高配当ETF):20% → 今を楽しむ「お小遣い」のため
- 現金(待機資金):10% → 暴落時の買い増しチャンスのため
7. まとめ:2026年に日本株高配当ETFを始める方へ
日本株高配当ETFは、新NISAの成長投資枠を最大限に活かせる素晴らしいツールです。特に「1489」のような低コストな商品を選べば、長期的に安定したインカムゲイン(配当収入)を期待できます。
ただし、分配金に目が眩んで全財産を投入するのは危険です。あくまで全世界株式などのインデックス投資を核に据えつつ、自分のリスク許容度の範囲内で「配当を受け取る喜び」を取り入れていきましょう。
まずは、月1口や数口の少額から、分配金が振り込まれる喜びを体験してみることからスタートしてみてください。
